『わが青春のオーストラリア〜シドニー伊師道場での1年間〜』
深野 弘之


おわりに

01/Aug/2014 00:13
自分からの志願でこの日記を書かせていただき、なんと7ヶ月強も経ってしまいました。こんな長期間、ホームページの一角を占めてしまっていて恐縮です。
途中、家の片づけをしていたら失くしたと思っていた稽古メモが見つかり、日記というより、伊師先生の肉声を書きまくるという流れになりました。
44歳で亡くなった先生が10年前の34歳の頃に何を発していたか、何を思考していたか、その一端をこの日記を読んで下さる縁ある方と共有しようという思いで、ここまで書かせてもらいました。
人によっては既に分かり切っていることがあったり、新たな発見があったり、稽古や人生におけるヒントを拾えたり、生前の伊師先生の声音を思わず感じたり、といろんなことを感じてくれたら幸いです。
この機会を与えてくれた砂川さんに感謝します!そして読んでくれた人、温かく?見守ってくれた皆さんにもお礼を言いたいです。
伊師先生からは人間としてどう生くべきか、そして目の前に起こることに対してポジティブであることと、エンジョイすることを深く学びました。
偉大な師匠と出会い、学べたことを糧として、試合や組手で完全に力を出し切ることと同様に、この人生も出し惜しみすることなく、燃やしきって終わるようにしたい、そう思います。
おつきあい、ありがとうございました!

押忍

深野弘之



最後の稽古

01/Aug/2014 00:11
選考試合が終わり、1年4か月あまりのオーストラリア生活も終わりが近づいてきた。
3月15日がパラマタ道場での最後の稽古の日になった。
そこで伊師先生が用意してくれた餞(はなむけ)は20人組手。ヒーッ!!
充実・完全消耗した最後の稽古になりました。本当にオーストラリアに来てよかった。感謝しかないと思った一瞬でした。



ワールドカップへ

01/Aug/2014 00:10
選考試合では、パラマタ道場の上位選手は男子・女子共に順当に優勝。
さらに親友のチャーリーも軽量級で準優勝し、なんとワールドカップに出場することに!ちなみに彼はワールドカップ1回戦で谷川光選手と対戦し、見事に散りました。
オーストラリアで一番強い重量級。パラマタ道場のフランク・ルソーはワールドカップでは岡本徹選手と対戦し、判定負け。こちらでは最強でも日本の壁は厚かった。



オーストラリアでの最後の試合

01/Aug/2014 00:09
97年の確か2月終りか3月頭。第1回ワールドカップの選考試合が行われた。この試合に出るために、ワーキングホリデービザ(期間1年)が切れた後、観光ビザに切り替えてこちらに滞在していた。
一応、1年間のオーストラリア稽古の成果を試すためにも絶好のタイミング。
中量級でエントリー。1回戦、ジェイク・オバートンという骨の硬そうな、木こりのような感じ。試合中盤までは互角だったが、ボディ効かされた。ほんとに体が思うように動かくなくなった。
そのまま判定負け。



伊師先生語録(130)

31/Jul/2014 22:30
「突きぬけるという感覚を覚えること。突くときに力を込めるというのではなく、体の動き、引きなどすべてが一致した時には力を込めなくても抜けるような感覚で突きが出る。
重要なのは力を込めて相手の胸を何度も叩き、赤く腫らすことではなく、何も力まずに相手の肋骨が折れるというような一撃ができるということ。
何かひとつの技でも、抜けたという感覚を覚えれば、他の攻撃にもつながっていくのである。その感覚を掴むということが大切。」



伊師先生語録(129)

31/Jul/2014 22:30
「体の感覚を身に付けること。足や手は自分の体でコントロールするものだということ。足や手に振り回される攻撃をしていたならば、捌かれたり、崩れてしまう。
でも体が足や手をコントロールしているのならそうはならない。
何もない平原や砂漠で45度という角度に正しく動くということは意外に難しい。建物の中に入ると前後左右という認識が何もない外よりは明確に掴める。
ここで大切なのは、どういう場所・空間にいても前後左右・45度という角度に正しく動けるということ。これは体の感覚で覚えること。
体で覚えていたら、どういう状況におかれたとしても動きの判断はできる。」



伊師先生語録(128)

31/Jul/2014 22:29
「ミット稽古の際、ミットを持つ側として重要なこと。無理な要求をする必要はないが、相手の持つ最大限の力を引き出せるように考えながら相手をする。
重要なのは高さとかではなくて、その人にとって最大限の力を引き出せたかということである。」



伊師先生語録(127)

31/Jul/2014 22:29
「どれだけ稽古したかではなく、どんな稽古をしたかが重要。
自分の体を知るということの重要性。前屈立ち・騎馬立ちにおいて、ただ下げるというのではなく、自分の体を知り、正しい姿勢をキープしつつ、どこまでできるかということを把握してやる事が大切。
例えば前屈立ちで立ち方を規定通りやったとしても、それが自分の体にとって無理な姿勢であったならば、体が前傾したりして全体としては間違った形になるということもある。
人それぞれ、関節の状態は違うので、大切なのは自分の体を知り、自分にとっての正しい姿勢を身に付けることである。」



伊師先生語録(126)

31/Jul/2014 22:28
「その幹の部分を確立させるために、基本・移動・型は重要。
例えばどうしても蹴りがうまくできない時に、蹴りばかり練習したとしても、体の重心がずれていたりして力がうまく伝わっていないからできないわけなので、その大元の立ち方から直した方が実は早道なのだ。」



伊師先生語録(125)

31/Jul/2014 22:28
「持っているものを最大限生かすという体の使い方が大事だ。準備体操の段階で関節が最大限使えるようにと意識すること。
関節の動きとして、腕を振り回すや首を回すとき、体前方の方には充分回したのに、後ろにはあまり回せていないというのではおかしい。
本来ならば前後共同じようにぐるっと回せる関節を持っているはずなので、それを目いっぱい使うことを心がけることが大切。
そうでないと、関節自体も硬くなるし、筋肉がついてくればなおさら直せなくなってしまう。
組手をやってテクニックやパワーをつけることを考える前に、自分の体を最大限に生かすということを考える。
組手はいわば、枝葉や花の部分。まず幹の部分をしっかりさせなければ、いくら枝葉や花を持ってきたところで何も変わらない。」 →126に続く



伊師先生語録(124)

31/Jul/2014 22:27
「初心者は水道の蛇口をひねって水を流すことを覚える。中級者は水がスムースに流れるように曲がったホースをまっすぐに直す。
上級者はまっすぐ流れている水を出口を抑えたりして、勢いよく流れる方法を考える。」



幸せな居候

31/Jul/2014 02:02
先生の家を後にし、向かったのはシドニー中心部から車で1時間ほど離れたちょっと田舎。ビーチまでダッシュで数10秒という好立地。
こっちで知り合った空手の仲間でポールとチャーリーが住む家に居候することとなった。
彼らとは春に行われた緑師範を迎えてのトレーニングキャンプで知り合い、その後も何かと気づかってくれ、なんとも気が合う仲間になった。
この頃にはワーキングホリデービザが既に切れて、ツーリストビザで滞在していたので、もう仕事はできない。
彼らは仕事をしているので、私はトレーニングして、海入って、畑耕して、飯作って、英語の勉強してと、今考えても極楽的時間を謳歌していた。
パラマタの伊師道場には週2〜3回、チャーリーの運転で約1時間かけて通う生活。
折しも、97年6月に日本で開催が決まっている第1回ワールドカップの選考試合を2〜3か月後に控え、私やチャーリー含め、パラマタの猛者たちが激しく集中した稽古を送っていた時期。
でもオフはしっかりリラックス。ジャグジーがあるポールの家に仲間が度々集まって、ひたすらビールを飲んだのも楽しい思い出。



必然の恩恵

31/Jul/2014 01:36
96年の冬頃、先般触れたノーザンビーチ大会が終わって後だったかと思うが、半年ほど居候させていただいた伊師先生の家から出ることとなった。
特に何かやらかしたということはないから、追い出されたのではなく、最初からそういう話だったのかな?今となっては記憶にない。
半年間、先生と住まわせてもらうということで、なかなかな緊張状態の中にいた、と思う。そりゃそうだし、それが功を奏した。
とにかく読めと言われたものを読み、雑談から空手の話まで、話が終わり自室に戻ると、覚えているうちにメモを書き、時には1歳の愛娘・美和ちゃんの子守りをし(※写真参照)、とあっという間の半年間。
この半年間で、今に続く自分の腰骨の土台工事がかなり急ピッチで進んだような感覚。
約1年前にアポなしでいきなりシドニーの先生を訪ねた、どこの馬の骨とも分からぬヤツだった私が、いつのまにかこういう境遇を得たことに対し、単なる偶然ではない、圧倒的な必然を感じます。

先般書いた森信三先生の言葉を繰り返すと

「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早過ぎず一瞬遅すぎない時に。」

まさにこれですね。



伊師先生推奨本(3) 

31/Jul/2014 01:01
「鉄球(ハンマー)は教えてくれた」 室伏重信(著) 講談社
「その瞬間にかける」 室伏重信(著) 原生林
「雑草のごとく 転んでも踏まれても立ち上がれ!」 谷口浩美(著) 出版芸術社

この3冊はあらゆる分野で競技を行うもの、上を目指す人にとってものすごくためになる本だと思います。
今は、中古かオークションでしか手に入らない本です。 気になる!方はぜひ探してみてください。



伊師先生推奨本(2) 

29/Jul/2014 00:09
「宇宙の響き(中村天風の世界)」 神渡良平著 (致知出版社)


この本の初版は1996年。ちょうど私がオーストラリアに滞在していた年なので、先生はこの出版ほやほやの著作を入手したと思われる。
中村 天風(1876年7月30日 − 1968年12月1日)は思想家であり、実業家であり、ヨガ行者でもあり、宇宙的な大きさを持つ偉大な魂を持つ偉人。
その中村天風の人生と哲学に迫った著作。痛快さあり、宇宙的な深さありと読みやすくも、深い内容を感じる著作です。
先生の思考も結構、中村天風から影響を受けているのではないかと感じます。
興味ある方はぜひ読んでみてください(ちなみに現在、映画化が進んでいるようです)。
著者の神渡良平先生とは、この本に出会ってから約15年後、奇縁によりお会いすることができ、折に触れて親しく声をかけていただいています。
今思えば、この縁も伊師先生が伏線を張っていてくれたのかも。恐るべし、策士・伊師先生。




伊師先生語録(123)

28/Jul/2014 23:36
足の親指について。「パンチを打つ時は親指に力を、親指だけでいい。足を回旋して浮かすけど、極端いうと親指だけを残すために浮かすようなもの。だから回旋させすぎると力が逃げる。」



伊師先生語録(122)

28/Jul/2014 23:30
「すべて道と名のつくものは、自分を律することから始まる。」



伊師先生語録(121)

28/Jul/2014 23:28
「正座や坐禅でも軸を見つけて取り組むと、長時間やっても大丈夫。無意識の領域になるから。」



伊師先生語録(120)

28/Jul/2014 23:26
「本の読み方にしても、ただ面白おかしく読むのでは知識の吸収にしかならない。その本が、その著者が何を言いたいのかという部分まで考えて読まないと、いくら沢山読んだところで、単なるペラペラな薄い知識にしかならないよ。」



伊師先生語録(119)

28/Jul/2014 23:21
「お経や念仏は波動だよ。破戒坊主は別として、しっかり修行している坊さんのお経は波動だから、成仏できる霊もいるのだ。」



伊師先生語録(118)

28/Jul/2014 23:18
先生との会話のメモより。伊師先生の場合は、他に徳を施して、自らの徳を積んでゆくタイプだろうとおっしゃっていた。そして昔は「語り部」か「物書き」になろうと思っていた、ともおっしゃっていた。



伊師先生語録(117)

28/Jul/2014 23:13
「大山総裁も植芝盛平も眼の中にコスモがある人だ。」



伊師先生語録(116)

28/Jul/2014 23:06
「以前、本部昇段審査の際に総裁が水で濡らした紙を道場に敷きつめ、この上を破らずに通ることができたら帯をあげようとおっしゃり、何人かが挑戦したが誰もできなかった。
体の使い方が全然分かってないよ!と総裁は怒りに怒ったものだ。」



伊師先生語録(115)

28/Jul/2014 23:02
「平安5やその他レベルの上位の型は、突きよりも、掴んで崩して倒す技が多い。」



一応優勝

28/Jul/2014 22:54
96年の冬だったか、こちらに来て4回目の試合に出場。シドニーのノーザンビーチエリアのローカル大会。
先般触れたトム先生がノーザンビーチエリアの顔役なので、もしかしたら彼が開催した大会だったのかもしれない。先生に「深野、出ろ」と命じられてエントリーしただけなので詳しくは分からない。
さて、この大会、エントリー数が少なかったので、私が出た階級では1回戦勝てば次は決勝。で、1回戦を勝ち、人生初(というか最初で最後)の空手大会での決勝に臨むことに。
そして自分なりに得意技だった、右の膝蹴りで相手を悶絶(たぶん)させ、勝利。小さい大会でかつ2回しか試合をしていないけど、やはり一応優勝ということで、これはこれで嬉しいもんです。
ちょうど同大会にエントリーしていた、パラマタ道場生のユキちゃんも優勝。
彼女は日本から単身渡豪。シドニーで高校に通いながら、パラマタ道場で激しい稽古をこなす黒帯。英語も堪能なので、いやほんとに助けられたこと多々。



トム・レバー先生

28/Jul/2014 22:30
西田師範のセミナーでのスパーリングのひとコマ。相手をはトム・レバー先生。いくつかの道場を持つ、とても明るく気さくな方で、シドニー滞在中はお世話になった恩人。
しかし、スキンヘッドで身長190cm以上、体重も100s位。前蹴りが顔面に来る。いやぁ、ミドル級にクラス変えてよかったわ。
来豪時はヘビー級にと思って、ひたすら食べて、トレーニングしたが、オーストラリアでヘビー級、、、無理



如水

13/Jul/2014 13:37
西田師範に頼んで一筆お願いしましたところ、「如水」という言葉をいただきました。
組手も、自分の行動、人生も「水の如く」、執着することなく、時には小川のせせらぎのように、時には激流のように硬軟自在にいきたいものです。
とても深い言葉をいただき、今でも大事にしています。



西田幸夫師範

13/Jul/2014 13:24
セミナーで錚々たる師範に直接教えを乞う機会に恵まれましたが、個人的にもっとも印象深いのは西田幸夫師範。その佇まいは静かなる古武士のよう。
内に秘めたる力が謙虚さのオブラートに包まれ、物腰がとても柔らか。今でもその存在感を深く記憶しています。
※写真は右から伊師先生、西田師範、私、親友というかほぼ身内のチャーリー



伊師先生の人徳

13/Jul/2014 13:13
私が滞在した約1年3か月の間、確か4回のセミナーが開かれ、その都度日本の第1級の師範の皆さんに渡豪いただき、オーストラリアの道場生に稽古をつけていただいた。
96年4月:現・緑代表、奥村啓治師範、鈴木国博師範、川原奈穂樹師範、山本健策師範
96年8月:塚本徳臣師範
96年10月:七戸康博師範
97年2月:西田幸夫師範
この錚々たる顔ぶれの師範を招聘できたのも、伊師先生の人徳だったと実感します。
私も全部参加させていただきましたが、オーストラリアにいたからこそ、こんな稀有な機会が巡ってきたんでしょうね。



伊師先生語録(114)

10/Jul/2014 01:33
「試合に出るにあたってプレッシャーや心配な面などあるかもしれないが、一番大切なのはエンジョイすることだ。」



伊師先生語録(113)

10/Jul/2014 01:32
「あたりまえのことだけど、稽古でも何でも受け身でやっていたら何も得ることはできない。やらされているのではなく、自分ですすんでやる。」



伊師先生語録(112)

10/Jul/2014 01:30
「スパーリングの際、例えば1〜10の距離が相手との間にあったとして、1〜6まではスピード・パワー共に入れてやり、7〜10は力を抜く。」



伊師先生語録(111)

10/Jul/2014 01:28
「何か”物”を媒介にストレッチをすると脱力・リラックスしやすくなる。これは武器術においても同じ。だから武器は面白いよ。」



伊師先生語録(110)

10/Jul/2014 01:13
「もっと考えた稽古をするように。」



伊師先生語録(109)

10/Jul/2014 01:12
「雑巾をしぼるように。」



伊師先生語録(108)

10/Jul/2014 01:12
「みんな優しすぎだ。追い込むときは容赦のない攻撃で相手をうちのめせばいいんだ。」



伊師先生語録(107)

10/Jul/2014 01:11
「みんな引手が下手だよねー。」



伊師先生語録(106)

10/Jul/2014 01:11
「みんな動きが固いだよね。なんでもっと流れるようにできないのかな。」



伊師先生語録(105)

10/Jul/2014 01:02
「選手でいる間は常に世界大会を目指さなくてはいけない。例えてみるなら、いつかはエベレストに登ってやろうと思っている奴と、いつもその辺の低山しか意識していない奴との差はものすごく大きい。
エベレストを狙っている奴には勝てるはずがない。地方大会くらいしか意識になければ、いつまでも上の選手のことを、わぁー、スゴイとしか見えないのだ。」



伊師先生語録(104)

10/Jul/2014 00:58
「充実感こそが強大なエネルギーを生み出す(※添付の写真参考)。この3つのそれぞれの円がかたよっていてはダメだ。
生活のリズムがばっちりで稽古にコンスタントに出ていても、夢が小さかったり、忘れていたり、目的意識や自分のイメージを持っていなかったりすると真の充実感が得られない。
真の充実感からは自然体の気負いのない強いエネルギーが生まれる。それは余裕を伴い、人にも優しくなれるし、謙虚にもなる。充実している者は、勢いがあるし輝いている。だから結果、試合にも勝つ。」



伊師先生語録(103)

08/Jul/2014 00:36
「スピード・角度・インパクト、この3つが揃って、一撃必殺となる。なお型の3大要素は@技の緩急、A息の調節、B力の強弱となり、前者の3つと共通する。」



伊師先生語録(102)

08/Jul/2014 00:35
「柔(しなり)よく剛(力)を制す。剛 対 剛(ガチンガチン)は力の強い方が勝つ。剛 対 柔では、剛の力は柔にはね返される、もしくは吸収、あるいは逆にはね返ってくる。剛に勝ち目はない。」



伊師先生語録(101)

08/Jul/2014 00:35
※語録(100)に続く言葉として

「そして、このひねるという動作。ひねったものが元の状態に戻ろうという時、瞬間「ゆるむ」という状態になる。この状態が「しなり」を生み出す。そして「しなり」こそがスピードとなる。」



伊師先生推奨本(1)

06/Jul/2014 14:15
「修身教授録」 森信三著 (致知出版社)

日本が誇る偉大な教育者であり、人間如何に生きるべきかという、生きるための原理原則を説く「人間学」の提唱者でもある、故森信三先生の名著。
私もこの著作を知り得たおかげで、なんとかかろうじて堕落せずにいられるのではないかと思うほど、胸が打たれる内容。
内容は森先生が、大学で「修身」の教鞭を取っていた折の、講義録をまとめたもので、約500ページ。1ページでも疎かにできない内容の濃さを感じます。

内容のごく一部分を切り取ると

「人生二度なし。これ人生における最大最深の真理なり。」

「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早過ぎず一瞬遅すぎない時に。」

きっと伊師先生にご縁ある皆さんにとっても、先生から薫陶を得たその一瞬が必然の一瞬だったんだと思います。

「修身教授録」は男女問わず、おすすめの本で、なるべくなら早く読んだ方がいい。
でも本との出会いも人の出会いと一緒だから、出会う人はベストなタイミングで出会うでしょうね。
個人的には近いうちに、この本の読書会を立ち上げたいと考えています。



伊師先生の本棚

06/Jul/2014 14:14
伊師先生宅で私の個室として使わせてもらった部屋には、先生の本棚があった。なぜかオーストラリアに来てからというもの、日本にいる時以上に日本語の活字に貪欲になっていた。
先生は読書家で、私が言うのも何だが、(今思い起こしてみると)蔵書のラインナップにも意識の高さを感じた。
そのラインナップから、「深野、これ読んでみるといいよ」と次から次へと課題?が渡されたのだが、ここでの読書、そして巡り会った著者・書籍が今でも自分の核になっている。感謝この上ない。
ということで、当時の私が感銘を受けた本を数冊紹介します。



延長戦に入ります

30/Jun/2014 23:07
本来は6月末を持って終了とする今回の稽古日記でしたが、私の出足が非常に鈍かったことと、伊師先生の語録がまだ残っているということもあり、7/15まで延長戦の許可をいただきました。残り半月で、出し切ります。押忍。

1996年の4月〜1997年3月まで伊師先生のパラマタ道場に通い、その間の6か月ほど伊師先生のご自宅に住み込ませていただきました。
当時、先生と奥さん、まだ1歳の先生の愛娘、美和ちゃんが暮らす、ちょっと広めのアパートでした。なので、稽古も含めて本当に多くの時間を一緒に過ごさせていただき、物わかりの悪い25歳の私に当時34歳だった先生は、一生懸命に空手のこと、人生のことを話し、諭してくれました。
その際、忘れぬようにと、せっせと書いていたメモを元に、今この日記を書いています。

これを読んでくれる方にとって、役に立つか、どう捉えられるか分かりませんが、ともかく先生の言霊をこの使い古したメモ帳に死蔵させたくはないという一念で、あと半月書かせていただきます。
もう少々お付き合い下さいませ〜



伊師先生語録(100)

30/Jun/2014 22:32
「ストレッチを通して、自分の体というものをまず分かるようにならなければダメ。柔軟を通じて自分の体が分からなければ、基本ではもっと分からないだろう。ましてや、移動・型・組手ではどんどん分からなくなる。
柔軟において最重要点はこういうことだ。→ ※添付の画像をご覧ください
この”ひねり”がいわゆる”しなり”を生む。例えてみれば、そばやうどんのコシといったところ。だから柔軟では伸びだけでなく、”ひねり”という動作もしなければならない。そこから動きのなかへ、その”しなり”を反映させていく。」



伊師先生語録(99)

29/Jun/2014 23:08
「前屈立ちから前蹴上げをする際は、体を横に向けないこと。本当に上手い人の前蹴上げを見ると、その人の関節いっぱいに足が上がった後、真上の方にビュンッと伸びている感じがするもの。」



伊師先生語録(98)

29/Jun/2014 23:05
「立ち方がなっていない!基本は自分の肩幅。常に2本のレールの上に立っているようなイメージで。」



伊師先生語録(97)

29/Jun/2014 23:03
「動作ひとつひとつに深い意味がある。それを解ってやるのと、そうでないのとは全然違う。」



伊師先生語録(96)

29/Jun/2014 22:59
「やっぱり一発を持つ選手は強いね。」



伊師先生語録(95)

29/Jun/2014 22:58
「道場に来たメンバーの顔ぶれを見て、その日の稽古の内容レベルを設定する。黒帯から白帯までが揃っていたら、その真ん中をとって中級レベルにしたり。」



伊師先生語録(94)

29/Jun/2014 22:56
「日常において、目に映る状況から、様々なことを察知する感覚を養うことは大事だ。例えば車を運転していて、前の車が突然右に行きそうだと事前に察知したり、道場に来ているメンバーを見て、今日はどんな感じになりそうだとか。
常にそういう感覚を養うことが、実は組手においても生きてくる。相手を読むことができ、それに応じることが事前にできるからだ。もしそういう感覚が備わらなければ、組手でも日常でも自己中心的になってくるものだ。」



伊師先生語録(93)

29/Jun/2014 18:45
「ストレッチ。特に練習後のストレッチをもっと重要視しなければならない。何においてもそう。準備することより、後片付けが重要。例えば、レストランの厨房でも、後片付けをしっかりとやることで、次の日の仕事を気持ちよくスタートできるでしょ。
稽古後のアフターケアを万全にやることで、常に快調の状態で動作に移れる。ケアをちゃんとする人としない人では、年月が経てば確実に差が出てくる。なかなか皆それが分からないんだ。
自主的にやる雰囲気・慣習をつくりたいんだけど、なかなか難しいね。50%の人間が分かれば道場全体で変わるんだろうけどね。」



伊師先生語録(92)

29/Jun/2014 18:38
「約束組手の練習において、みんな言われた技の攻防しかやらない。俺が皆に示すのは単なる見本にすぎないのだから、そこから先は各自が自分で考えてやらなきゃ。みんな考えないんだよね。」



伊師先生語録(91)

29/Jun/2014 18:34
「どの角度が一番効かせられるか。それは45度の角度。自分の体を叩いてみれば分かる。あと、もちろん体の中心線も急所。ちょうど、胸腺のあたりも効く。」



伊師先生語録(90)

29/Jun/2014 18:32
「体のどこか、例えば首とか腰とか、肘とかがブレていると軸全体がブレて、力が逃げてしまう。体を一本の軸として見、ブラさないように。」



伊師先生語録(89)

29/Jun/2014 18:29
「ワンツーと中段回し蹴りで体の使い方を解るようになるのだ。前蹴りは結構奥が深いんだよ。」



伊師先生語録(88)

29/Jun/2014 18:28
「組手・試割・型 この3つがバランスよくできるものが本物の空手家。」



伊師先生語録(87)

29/Jun/2014 18:26
「いかに自分の体を分かり、コントロールできるかだ。」



伊師先生語録(86)

29/Jun/2014 18:24
「引く動きと出す(押す)動き。組手や型、その他すべての体の動かし方、それらを見ると、日本人は引くのは得意で押すのが苦手。西洋人は押すのは得意だけど、引くのは苦手。
だからオーストラリア人なんかに後屈立ちをやらせたら、まぁヒドイもんだけど、前屈立ちをやらせたらなかなかキマル。そしてマクロに見ると、それは生き方や日常すべてに現出している。
例えば西洋人は自分の意見を前面に押し出すことが得意だが、日本人にとってそれは苦手でむしろ、一歩引いて押し包むことが得意でしょ。」



伊師先生語録(85)

28/Jun/2014 16:09
「俺も空手のことは、40%くらいしか分からないだろうね。それほど奥が深いんだよ。」



伊師先生語録(84)

28/Jun/2014 16:09
「なぜその技が、そういう動きをするのか、そこには必ず意味があるのだからそれを考えて稽古しなければいけない。
例えば、「内受け」。受けでは上段・下段・外・内とあるが、内受けだけ他と異なる。上段・下段・外受けでは、すべての打突の技を受け、その受けた手でそのまま攻撃ができる。
上段受けから裏拳、外受けから肘打ち、下段受けから下突きというように。でも内受けが予想しているのは相手から掴まれたりした場合だ。首とか肩とか掴まれて、内受けでバチーンとはずす。これがワン。そしてツーで他の手で相手を攻撃。
ワンではずすと共に、体を引いてツーで攻撃。考えてみたら、内受け以外の受けは前屈立ちでやるが、内受けだけは後屈立ち。それは引く動きが不可欠だからだ。」



伊師先生語録(83)

28/Jun/2014 16:09
「最後に勝つのはオールラウンドプレイヤー。」



伊師先生語録(82)

23/Jun/2014 00:19
「人間は横から切っても、縦から切っても左右対称じゃなきゃ。前蹴上げできても、横蹴上げが変なら、どこかがおかしい。右ができて左が変なのもそう。」



伊師先生語録(81)

22/Jun/2014 23:58
「上段・中段・下段・回し蹴りとあるが、中段がいちばん体の使い方を解るのに適している。それは打点が腰の高さと同じだから、軸を安定させたまま蹴れるから。
だからまず中段で体の使い方を覚えるのがよい。中段から入れば下段も上段もあとは同じ。しかし例えば、数見肇や黒澤浩樹は下段はいいけど、上段は下手。これは下段から入ってしまったせい。
稽古でサンドバッグやミットを蹴る際も、うちのパラマタ道場では、はじめ中段から絶対やっている。それはなぜか?最初に中段をやることによって、正しい体の使い方の確認をするためだ。
ちなみに「確認」ということについては、稽古のところどころに行う不動立ち。これも不動立ちをすることによって、重心(丹田)を都度確認するためだ。



伊師先生語録(80)

22/Jun/2014 23:58
「やはり空手の理想は一撃必殺。イメージとしては日本刀でスパッと一刀両断という感じだ。」



伊師先生語録(79)

22/Jun/2014 23:57
「両端がふさがっているホースの中に鉄の玉がひとつ入っているとイメージ。このホースをブンと振ると、目標物に当るその瞬間に鉄の玉がバチーンと最高のインパクトを目標物に与える。それと同じようなイメージで突きも蹴りもやる。」



伊師先生語録(78)

22/Jun/2014 22:51
「すべては日常生活から。日常の生活の中で自分を律していくことが、すべてに繋がる。真面目に真摯な態度でいるものが結局は報われる。これは本当に目に見えて分かりやすい。良いことをしていれば、良いことが返ってくるし、反対も同じ。
別に特別なことやったり、特別な場所に行く必要はない。でも人というやつは横着だから、もっと楽な方法はないかとすぐ考え、目新しいものに飛びついたりする。新興宗教に入るのもそう。しかし、そうじゃないんだ。
原点は日常生活。日常の挙措動作にあるわけだ。何も特別なことじゃないんだよ。まぁこれがいちばん大変なんだけどね。まったく気が抜けないよ。
良いことをしていても、フッと気を抜いてしまった時には、あっという間に転落。落ちていくのは至極簡単。しかし、登っていくのは至難の道。
良くなるも、悪くなるも、落ちていくのも、何かしら原因があり、その結果がある。分かりやすいね。」



伊師先生語録(77)

22/Jun/2014 00:18
「極真の新時代はいつ来るか?それは世界大会のチャンピオンに日本人以外の人間がなった時だろう。
ワールドカップが海外で開かれ、そこで様々な階級で日本人以外がチャンピオンになれば彼らは自信を得、徐々に世界大会のチャンピオンになるときが早まる。
なぜそこで新時代が来るか?それは王座を奪われた日本がその後、何を持って武道たる極真のイニシアティブをとるべきかがはっきりと姿を現すのだ。
チャンピオンは日本人ではない。しかし、武道性の精神の支柱の発信基地をしては断固として日本がとらなければいけない。それをとるだけのものが日本にはあるのだから。
何を求めて極真をやるのか、極真を通してそれぞれの人が何をつかもうとしているのかが、はっきり分かった時、現在の競技一辺倒に流れている極真が競技を目指す人も、そうでない人にも、すべての人にとって道を示していく、本当の意味での武道に昇華するのだろう。」



伊師先生語録(75)

22/Jun/2014 00:00
「要はいかに反応度を高めるかということが問題だ。組手においては下位の反応レベルから順に言うと
@ 固めて (相手の技を瞬間、筋肉を固めて受ける)
A 受けて (文字通り受けること)
B 返して (受けた後、すかさず反撃にうつる)
C 止めて (相手の技が到達する前に攻撃し、崩す)
D 合わせて (相手の攻撃とほぼ同時に仕掛け、技を無効化すると共に、無防備な態勢の相手にダメージを与える)
Dの「合わせて」はいわゆる後出しジャンケン。これに勝るものはない。反応レベルが下位になればなるほど、互いにダメージを負う。Dの合わせる反応レベルに到達すれば、お互いに傷つくところがない。これこそ求めるべき反応のレベルだ。」



伊師先生語録(74)

19/Jun/2014 23:51
「相手を恐怖させるぐらいの横の動き・攻撃(回し蹴り等)がなければ、縦の攻撃(前蹴り等)が活かされない。」



伊師先生語録(73)

19/Jun/2014 23:50
「腕立てでもバーピージャンプでも可動範囲いっぱいにやらないと、ちゃんと効果が現れない。それは正拳中段突きでも同じだし、他もそう。」



伊師先生語録(72)

19/Jun/2014 20:17
「パンチをはじくように、ねじ込むように打つとどうしても肘が外にいってしまいがち。なので、まずパンチを打つ時は重心を中足に置き、中足に力を入れるように。
前方に流れていってしまいそうな上体はアゴ(顔)を引くような感じと、膝のタメでキープする。これは蹴りでも同じだ。正しい打ち方を覚えてから、ねじ込むという意識に移ればいい。」



伊師先生語録(71)

19/Jun/2014 20:05
「その場所に行くことは必要だ。吉田松陰の思いを本当に知りたければ例えば松下村塾のあったところまで行かなきゃ分からない。なぜならそこには、松陰の想い、波動が残っているからだ。
そこに到った時、自分の体の中で何かがはじけるかもしれない。俺にとってはネパール・チベットあたりが「はじけ所」かもね。」



伊師先生語録(70)

19/Jun/2014 20:01
「思え!思い続けろ!確信が持てるまで思え! これは三瓶師範がいちばん伝えたいメッセージだ。」



伊師先生語録(69)

19/Jun/2014 19:59
「人間ひとりひとりは点。それが縁によってつながり線となる。そして最終的には円となる。この考えはすべてに通ずるようだ。自分のことを顧みても、色々な本を読んだり、聞いたり、考えたりとそれらひとつひとつの点が、気が付くと実はつながっていることが分かり、さらに気が付くと円になっている。
総裁も空手の極は円だと言っておられた。」



伊師先生語録(68)

19/Jun/2014 19:55
「運命(命を運ぶと書く)は自分の生き方次第で変えられるもの。しかし、宿命・天命は変えることができない。」



伊師先生語録(67)

19/Jun/2014 01:00
「先生とは「先を生きる人」、常にその先にいるもの。だから先生。追いつけそうで、追いつけないもの。先輩とは先を行く輩(ともがら)のこと。」



伊師先生語録(66)

19/Jun/2014 00:59
「稽古中に全力を出さなくて、試合で全力を出せるわけないじゃないか。」



伊師先生語録(65)

19/Jun/2014 00:59
「試合後、自分の試合を振り返り、何が悪かったか考える。あごが上がっている、ここぞという時に連打できないなど確かにこういった細かい、いわゆる現象面のチェックも必要だけど、本当に考えなきゃいけないことは、心・精神の状態の部分、試合までのプロセス(稽古・日常生活などすべて)の部分では反省することがなかったかどうかということ。



伊師先生語録(64)

19/Jun/2014 00:41
「人間のいいところは、「しつけ」から入って「教育→習慣→慣習」へと入っていけるところ。例えば歯磨きなんかもそうだし、良い行いをするのもそう。
そして慣習までいった後には、水の流れるが如く、自然と体・心が動く状態になるんだよ。」



伊師先生語録(63)

19/Jun/2014 00:41
「稽古をしていって攻撃力にはどうしても差ができるかもしれないが、受けの技術に関しては稽古さえすれば誰もが100%までもっていけるのだ。皆そこがわかっていないんだよね。
松井・緑・増田・黒澤(敬称略)と比較してみると、攻撃力は増田・黒澤が強いが、松井・緑は受けの技術がその両人をしのいでいる。だから強いし、優勝もできた。」



伊師先生語録(62)

19/Jun/2014 00:40
「疲れてくるとだんだん体が「くの字」になって前傾してくるのは最悪だよ。原因は腹筋、背筋の弱さとスタミナのなさ。くの字になってたら上段ももらいやすいし、中段も効かされやすく、受けの反応も遅くなる。
人間はそういった弱い状態になると、悪いところ、本性が現れる。空手以外でもすべてにおいてそうだ。」



伊師先生語録(61)

19/Jun/2014 00:25
「三戦から何を学ぶか。緊張と弛緩を学ぶのだ。」



伊師先生語録(60)

19/Jun/2014 00:25
「受けの稽古を通じて何を学ぶか。受けは常に上体を45度に捻る。受けの稽古の目的は「軸」を分かることにある。」



伊師先生語録(59)

19/Jun/2014 00:24
「人間の体で一番大切な場所はといえば、首と背骨(体軸、体幹)、腰(いわゆる土台)。土台が弱ければ、軸も歪みが出てしまう。」



伊師先生語録(59)

19/Jun/2014 00:23
「例えば何か重いもの、ダンベルなんかを両手で持っているとする。そして何かエクササイズをするわけだが、その際ダンベルを持っている腕を使って、肩をターゲットとして鍛えたり、胸を鍛えたりすることができる。
これと同じように、中段突きをやる場合は、腕を使って突くという動作を通じて、「捻り」を知り、「伸び」を知り、「練り」を知ることになる。そういう意識でやるということだ。蹴り技でも同じ。」



伊師先生語録(58)

19/Jun/2014 00:22
「何のために三戦立ちをするのか? 力・パワーは「捻り」と「伸び」から生まれる。三戦立ちは「捻り」という体の使い方を知るためにやる。
例えば、右三戦立ちで中段突きをやる場合と、平行立ちで中段突きをやる場合と比べると、どうしても平行立ちの時は体がぶれてしまうが、三戦立ちでやった場合は土台がしっかりしているので、捻りの動作ができるのだ。」



伊師先生語録(57)

18/Jun/2014 00:05
「笑顔はすごいね。周りの人の気分も、自分の気分もよくなる。まさにローコスト、ハイクオリィティー。これを使わない手はないよ。」



伊師先生語録(56)

18/Jun/2014 00:04
「睡眠は長さじゃなくて深さだ。寝る前には良いこと、楽しいこと、叶えたいことなどを思うことだ。その思いはいつか念が強ければ実現するのだし、そういうことを考えて寝れば、気持ち良い睡眠を得られるというものだ。」



伊師先生語録(55)

18/Jun/2014 00:04
「積極的行動は積極的思考を生む。パラマタ道場の生徒は皆遠いところから長い時間をかけて来る。そういう風に自ら行動すると、思考も引っ張られているし、時間というものも大切にするだろう。」



伊師先生語録(54)

18/Jun/2014 00:04
「何を稽古するかじゃなくて、どう稽古するかだよね。今日は何を何ラウンドやったとかじゃなくて、それをどうやったかが大事。スピードを意識してやったとか、リズムを意識したとか。
それと同じように、人生においても何をして生きるかではなく、どう生きるかが重要なんだよ。」



伊師先生語録(53)

16/Jun/2014 22:56
「神社で相撲の力士が四股を踏むだろう。あれはいわゆる邪気を払うためにやっているのだ。すべてに意味があるということ。」



伊師先生語録(52)

16/Jun/2014 22:56
「伸びと捻りで、「しなり」をつくる。」



伊師先生語録(51)

16/Jun/2014 22:54
「ゆっくりと正確にやらなければ正しい字が書けないように型も同じ。例えば手首の角度ひとつ違っても全身がこれによって歪むのだ。」



伊師先生語録(50)

16/Jun/2014 22:53
「空手を通じて健康にならなければ意味がない。体の正しい使い方が内臓の調整につながる。」



伊師先生語録(49)

15/Jun/2014 00:32
「見たら分かるけど、総裁はサインの横に花のようなものを描いている。あれは実は「獅子」という漢字を崩して花の形にしたものなのだ。その意味は、獅子の如く猛々しく、花の如く優しくというもの。強さと優しさということだ。」



伊師先生語録(48)

14/Jun/2014 01:12
「帯は洗ってはいけない。洗えば魂が落ちてしまうのだ。武士における刀だと思えばいい。」



伊師先生語録(47)

14/Jun/2014 01:12
「空手などやっている人間は体が丈夫と思われがちなのだが、実は稽古などを通して膨大なエネルギーを消費していることから、常人よりも抵抗力が落ちている場合もあるので、体の自己管理は常人以上に気をつけなくてはいけないのである。」



伊師先生語録(46)

14/Jun/2014 01:11
「第17回の全日本は面白いぞ。15、16と下段の嵐だった大会を、松井さんが上段や他の技で勝っていくのだ。堺貞夫も見物。得るべきものが多い大会だ。」



伊師先生語録(45)

14/Jun/2014 01:11
「50%は総裁はじめ他の人から色々教わり、50%は自分で考えた。」



伊師先生語録(44)

14/Jun/2014 01:10
「ワンツーを正しくできれば、他の技も正しくなる。ワンツーはしっかりと拳が回転するよう意識すること。あと足の向きがどこまで回旋するかだが、拳を打つ方向と同じ方向で最小限の動きでキュッとやる。回旋しすぎるとまったく力が乗らないことになってしまう。」



伊師先生語録(43)

14/Jun/2014 01:10
「こっち(オーストラリア)に来て感じたことだが、こっちの人間はどうも権利は主張するが、それに付随する責任というものを取りたがらず、逃げようとするずるい奴が多い。結果を見て勝つ方につくような、人間の生き様としてこれではロクな奴にならないよね。」



伊師先生語録(42)

14/Jun/2014 01:09
「3という数字に不思議な確信を感じる。3日、3週間、3ヶ月、3年間、ものごとを続ける中でこのそれぞれの期間はすべて意味があるように思える。」



伊師先生語録(41)

14/Jun/2014 01:09
「移動稽古で動くときは仙骨・腰から動く。言ってみれば、誰かにその部分を押されて前にスライドするような感じ。」



伊師先生語録(40)

14/Jun/2014 01:08
「パンチやキックのコンビネーション練習をやっている際、技を止めてはダメだ。基本などではインパクトの瞬間を捉えるのが目的だから、技を止めてもよいが、コンビネーションなど動きの練習の時は突いたらすぐに引かなくては。
極端に言えば、止めちゃえば技が止まってケンカにも何にもならないということだ。」



伊師先生語録(39)

14/Jun/2014 01:08
「歩くときは母指球で歩くようにするとよい。力が内に入る。だからケンカしたらバレーダンサーは強いよ。」



伊師先生語録(38)

14/Jun/2014 01:07
「例えば、廬山道場では、皆があの廬山師範の構えでやっている。いわゆる皆コピーだ。これではダメ。
構えなどは一人一人に合ったものがあるのだし、各個人がそれぞれに合った構えをクリエイトできるように導いていくものだし、肝心の芯を作っていくようにしていかなくては。」



伊師先生語録(37)

12/Jun/2014 22:34
「しかし、みんな「後屈立ち」下手だよね。後ろ70%、前30%と頭では分かっていても、どこまで体で分かっているやら。60:40、70:30、80:20、90:10とすべて体で分かるようにならなきゃ。組手の時も瞬間、90:10になる時もある。そのためにも体で納得しておくこと。」



伊師先生語録(36)

12/Jun/2014 22:33
「一本の太いロープをイメージ。それを全部ほぐしていけば、真ん中に一本の芯が残る。その芯こそ、すべてに通ずるものである。空手、柔道、合気道、剣道、etc そして人間の生き方にもあてはまるものだ。
そしてその芯に一本一本細い糸を撚(よ)って、一本の太いロープと成していく。
その細い糸は例えば、@まず正しいパンチを打てるようになること、A次にリズムをつけられるようになること、B次に距離をコントロールできるようになること(いわゆる運足)、そうして自由自在の攻撃、アレンジへと繋がる。
あと例えば、ひとつの確信を持つには、その対象に対して多方面からアプローチする必要がある。見て、聴いて、書いて、教えて、教わって、自分自身でやってみて、ついにはひとつの確信ともいえる、太いロープができあがるもの。
もうひとつ例えは、ワンツーローのコンビネーショントレーニングをやっている時も、その技にこだわるのではなくて、正しい体の動かし方という基本を考えながらやれば、色々クリエイトでき、アレンジも自在だ。
今度、極真の教則本が完成する(オーストラリアの極真で)。それにはいわゆる基本的なモラルというか、真ん中の芯しか書かれていない。その他の周辺の部分は、一人一人が多方面からアプローチし、クリエイトしていかなければならない。」



伊師先生語録(35)

12/Jun/2014 00:52
「黒澤浩樹や田村悦宏の組手は強いが、幅というものがない。一辺倒の組手ではいつか通用しなくなるし、人によってはすでに通用しない。だからいつの場合でも、応変性を持たせ、幅を持たすように考えなければいけない。」



伊師先生語録(34)

12/Jun/2014 00:51
「帯というものに対して随分と誤解している輩が多い。何年やったらもらえるとかいうものではないし、先生だからというものでもない。初段さえ取れば後はどうでもいいと思うけどね。
ま、本来は師範や先生がこの生徒にはと思った時に受けさせるものだし、与えるものでもあったのだ。」



伊師先生語録(33)

12/Jun/2014 00:51
「ここオーストラリアでは昇級や帯といったものがビジネスになってしまっている。本来はそういうものではないんだ。帯が変わることによって、その人がもっと伸びるだろうことを期待してその機会を与えるものだ。
誰が受けても取れるなんていうことは、競争原理もあったものではないよ。」



伊師先生語録(32)

12/Jun/2014 00:50
「シャドーの時、フックや下突きもやっているようだけど、まずはストレートのワンツーをみっちりやりこんで体の使い方を覚えた方がいいぞ。体の使い方さえ覚えれば、それはすべてに共通するのだから。」
 ※私が黄帯の時に、先生に指摘されました。



伊師先生語録(31)

12/Jun/2014 00:50
「人間の体には3つの軸(中心)がある。いわゆる、首・腰・背骨だ。この3つの軸を中心に据えて体の使い方を考える。脚や腕がどうなっても命に別状はないが、この3点のどこかがダメージを受ければもうこれはダメだ。
柔道でも剣道でも合気道でもこの3点の使い方がポイント。3点の動きが瞬間的に同時に合った時、それぞれのベストな技が生まれるのだ。」



伊師先生語録(30)

09/Jun/2014 23:01
「笑顔でいれば、考え方もプラスの方向に向かうよ。」



伊師先生語録(29)

09/Jun/2014 23:00
「何でもそうだが、自分から進んで能動的にやるものはどんどん身に付くものだが、受け身でやるものはまったく身に付かないし、やるだけムダだろう。空手も恋愛も人生も。」



伊師先生語録(28)

09/Jun/2014 23:00
「空手における体の使い方も突き詰めると実にシンプルなものになる。それは人間の生き方についてもそう。自分の子供を見ていても、あの純粋な笑いは実にシンプル。シンプルイズベストだと思う。」



伊師先生語録(27)

09/Jun/2014 22:59
「自分を律すること。自分で決めたことをきちんとやり尽くすこと。それの繰り返しで、人間は強くなっていき、余裕も生まれ、優しくもなっていき、味わいもでるものだ。」



伊師先生語録(26)

09/Jun/2014 22:59
「総裁が凄い所以は何か。それは1年半もの間、山に籠ってただ一人で毎日黙々と自分を追い詰めるような稽古をしていたということだ。それには自分を律する強靭な精神力が必要。我々は到底、総裁の真似はできないだろう。」



伊師先生語録(25)

09/Jun/2014 22:58
「今の極真は空手道とは言えないだろう。空手術だ。なぜなら皆の方向が大会というもののみに向かっているからだ。総裁が現役の頃はもちろん大会などはなかった。そこで総裁が相手にしたものは鉄板や石、動物などだった。
そういったものを鍛錬の対象に求めるということは、人との戦いというよりむしろ自分との戦いであったろう。だからこそ空手道ともいえるものなのだ。」



伊師先生語録(24)

09/Jun/2014 22:58
「空手には□(四角)→△(三角)→○(丸)の段階がある。□はガンガン行くように。△は力を集約してパーンッと鞭のように。〇は自由自在の境地といったらよいか。
しかし、〇に達するには△を、△に達するには□をそれぞれ通らねばならない。鞭になるには、とことん木刀のように自分を鍛え尽くさねばならない。」



伊師先生語録(23)

07/Jun/2014 01:15
「若い時は自らを木刀にするような感じで、老いては自ら鞭のようにしなやかにならねばいけない。筋力やスタミナは加齢とともに必ず落ちるもの。
だからこそ、年齢に関係ないもの、体の使い方こそが大事になる。」



伊師先生語録(22)

07/Jun/2014 01:15
「もっと膝に余裕(ため)をつくった方がいい。日本人は西洋人に比べて、膝や足首の関節が柔らかい(西洋の人はうんこ坐りが苦手)。だからもっとその特質を活かさなければならない。
アンディフグでさえも、いくら体が柔らかくても、膝・足首の固さは生来のものなので、その特質は変えられるものではない。」



伊師先生語録(21)

06/Jun/2014 00:54
「気合を出す(発声)ということは、喉を鍛えるということで、ひいては首を鍛えることにもなる。」



伊師先生語録(20)

06/Jun/2014 00:54
「自分のリズムを大切に。相手に合わせるのではなく自分のリズムを。」



伊師先生語録(19)

06/Jun/2014 00:53
「脱力は大事だ。例えば稽古前にやるシャドーは体を温め、筋を伸ばすためにやるが、稽古後は筋をほぐし、体をほぐすためにやるのだから、きっちりやっているようでも力は抜く、力まない。
生活もすべてそう。稽古や仕事はしっかりやり、後はバカ騒ぎしたりとメリハリが大事。」



伊師先生語録(18)

06/Jun/2014 00:53
「たとえ回りの人が仕事の後、飲んだくれていても、自分は苦しく、そして楽しく充実した稽古で汗を流す。そうやって自分を律することが大事。顔つきも変わってくる。これが修身というものだ。」



伊師先生語録(17)

06/Jun/2014 00:52
「色々な人の、色々な種類の組手を見て、偏りすぎないようにして、自分の形を作っていく。自分の形・リズム・体、これらをしっかり把握してなきゃ、人にとやかく言えないよ。」



伊師先生語録(16)

05/Jun/2014 00:07
シャドーについて「パントマイムは上手い人がやれば本当に見えないものが見える感じがするが、下手な人がやれば全然見えない。それと同じで、イメージが大切。
ただ自分の得意をやるのではなく、いかにイレギュラーな相手の攻めに対しての受け返しができるかが大事。」



伊師先生語録(15)

05/Jun/2014 00:05
「ヤンツーはすべて左右対称。だからこそ体を矯正したり、歪みをチェックするにはとてもよい。」



伊師先生語録(14)

05/Jun/2014 00:05
「黒澤浩樹は組手は強いけど、型とか他のものはダメだろ。こんな風に偏っちゃダメだ。基本・型・試割・組手、全部できてこその空手だし、偏れば自然と癖や歪みが出てくるものだ。」



伊師先生語録(13)

05/Jun/2014 00:05
「自分の体の歪みに気が付くべきだ。そして対症療法ではなくて、とことん原因を突き止める。原因は腰かもしれないし、ストレスや人間関係、日々の行いに由来するかもしれない。
空手家は空手家として稽古の中で正しい動きをすることによって歪みを直していくんだよ。日々の行い、日常の動作も稽古と思え。」



伊師先生語録(12)

04/Jun/2014 00:15
「目的と目標は違う。大会はあくまでも目標であって、目的は空手を修めること。型をやっても、試割をやっても、組手をやっても美しいこと。
今の極真は往々にして大会が目的になっていて、組手は美しいが他はダメというのが多い。だから少年・女子・壮年部の層が異常に薄い。
これからはこれじゃダメだよ。誰でもその人に合った目的と目標を持ってできるようにしないと。」



伊師先生語録(11)

04/Jun/2014 00:15
「下手な奴に合わせて稽古するな。自分のためにも相手のためにもならない。」



伊師先生語録(10)

04/Jun/2014 00:14
「手だけ足だけで技を出せばおのずと態勢は崩れるが、体の芯を中心にして技を出せば態勢は崩れない。体の芯を考えなければいけない。」



伊師先生語録(9)

04/Jun/2014 00:14
「茶帯くらいまではとにかく攻撃中心の組手を。スパーリングで最初から受け中心でやっていたらダメだ。痛い思いをしていろいろ分かってくるんだよ。」



伊師先生語録(8)

04/Jun/2014 00:13
「組手立ち、パンチの好きな奴はスタンス広くなり、キックが好きな奴は狭くなる。だから稽古の時は広すぎるよりは狭いスタンスで、そして常にバランスを保て。」



伊師先生語録(7)

03/Jun/2014 00:29
「組手とは手を組むこと。基本・型・組手 すべてがつながるように意識をしろ。」



伊師先生語録(6)

03/Jun/2014 00:28
「紙だって角度やタイミングで凶器になる。人間もそう、要は体の使い方。本当に空手は面白いよ。」



伊師先生語録(5)

03/Jun/2014 00:28
「要するに後だしジャンケン(後の先)をやれば100%勝てる」



伊師先生語録(4)

03/Jun/2014 00:27
「バーピージャンプは背中を鍛えるものなんだから、沈んだとき背中を伸ばさなきゃ、やる意味がない。」



伊師先生語録(3)

03/Jun/2014 00:27
「ストレッチは大事だ。これが分からないやつは強くなれない。自分の体を把握すること。」



伊師先生語録(2)

03/Jun/2014 00:26
「首、前腕、腹・背・ふくらはぎを鍛えれば強くなるよ。」



伊師先生語録(1)

27/May/2014 00:36
「どうやって勝つか考えた攻撃をしなければダメ。ただ一生懸命なら相手も同じだよ。」



手帳が出てきた!!

27/May/2014 00:35
すみませぬ。また更新が滞ってしまいました、、、

さて、オーストラリア滞在時の手帳はとうに捨ててしまっていたと思っていたが、実家の大掃除したら出てきた!!
いや、まじめというか伊師先生に言われたことなど、細かい字でよく書いているわ。
読んでくれている方の役に立つか分からないけれど、私が先生から聞き書きしたことを、「伊師先生語録」として今後つらつらと書き記していきます。
ストップがかかるまでか、語録が尽きるまで。



パラマタ道場での選手クラス

27/Apl/2014 23:08
当時パラマタ道場では男子も女子もオーストラリアのトップ2がいた。
男子はフランクとダニエル、女子はヴァネッサとジャネット。
月・水・土は一般部クラスの後に、選手クラスがある。4人とも稽古は基本的にこの3日間だけに集中。
一般部クラスには日によるが、概ね15人〜20人が出席、その後の選手クラスには上の4人を含め8〜10人が参加。
強豪揃いの選手クラスに、黄帯の私も無論合流。

いや、しかしこの選手クラスがきつくて、毎回一般部稽古が終わると、憂鬱この上なかった。
シャドー、補強、ミット、コンビネーション、スパーだが、先生の絶妙な追い込みが効いた。
スパーはガチンコではないが、さすがにチャンピオン達の攻めはきつい。
ダニエルは優しかった。しかしフランクは容赦なかった。ま、容赦ない方が今思うとむしろありがたい。
約1時間半の選手稽古が終わると精も根も尽きた。
この週3回の稽古の繰り返し、約1年弱の短い間だったけれど、これをやるためにこっちに来たんだなぁ

フランクの稽古に向かう姿勢についてある日伊師先生が私に語った。

「フランクは週3回しか稽古していない。しかし、オーストラリアチャンピオンにもなったし、奄美(奄美の大会に遠征した)でも3位だ。皆、驚くよ。
ギャリ―オニールは内弟子で毎日ストイックに稽古している(松井派の第6回世界大会4位)。
フランクは週3回、そして仕事を持ち(大工さん)、彼女もおり、遊びもする。だから今はギャリーに勝てるはずがない。
しかしフランクには稽古を含む、日常生活全般からくる総体的な充実感がある。
だから数年後、色々な角度から厚みもつけてきたフランクと空手一本のギャリー、どっちの充実感が大きいだろうね」



試合三昧

19/Apl/2014 17:42
ニューサウスウェールズ州の州大会は7月だった。パラマタ道場で稽古するようになって、おそらく2か月後くらいのこと。
そのまた2ヶ月月後くらいに州大会でなく、オーストラリアの全国大会にもエントリーすることになった。
息つく暇を与えないのが、伊師流か。

無論、ここオーストラリアで稽古できるのも1年弱。武者修行に来たわけだから否やはない。
パラマタ道場のかなりハードな稽古を4か月くらい続けて、前回大会の時よりもややスタミナついたが、今回も判定で1回戦負け。
あ、そうだこの大会の前に確か、寸止めの空手の試合も経験しておけということで、エントリーしたっけ。
この後、11月と翌3月も試合に出させてもらったが、それはまた別記事で。



初試合

15/Apl/2014 00:19
伊師先生のパラマタ道場で稽古をした約1年の間には確か5回の試合にエントリーした。させられた?いや、させていただいた!
常に先生は「深野、エントリーしておいたから、頑張ってね」、「エントリーするよな」と、躊躇する気持ちをあざやかに薙ぎ払ってくれました。
初の試合はニューサウスウェールズ州の州大会。
確か判定で1回戦負け。
まだまだパラマタ稽古も積み重ねていない頃で、体ができていなかったな。
写真はその私の試合中のもの。伊師先生が審判をしている。

この大会では、ある試合で上段回し蹴りが相手の側頭部にきれいにヒットしたところ、相手の側頭部がやや陥没し、救急車で運ばれるという場面があった。
未だに鮮明に覚えている。フルコンの苛烈さを思い知った一幕だ。

時はやや遡って、ボンダイジャンクション道場でのスパーリング稽古中、やはり相手の頭部に上段がヒットしたところ、、、
相手のカツラが飛んでった!ことがあった。忘れようにも忘れられない。上段は恐ろしい。



日常の生活

07/Apl/2014 22:58
ワーキングホリデーというビザは働きながら滞在してよいというお墨付きのビザだ。
ただし同所で働くのは3か月までと決められていた。私も金がなかったため、週5くらい働いていた。やはりマカナイ飯をがっつり食べられる方がよいので、常に飲食店。
日本料理店→ラーメン屋→ラーメン屋と3か所、3か月ずつ働いた。
最初はオーストラリアの大会に出る際ヘビー級でと思ったので、とにかくよく食った。最高でなんとか85sまで増やしたが、こっちのヘビー級は100s超がザラなので、作戦変更。
ミドル級狙いにして、80sを保つこととした。正直ヘビー級でエントリーしていたら、ただじゃすまなかったような気がする。

住まいはかつてシェアさせてもらっていたピーターの家は2ヶ月くらいで引き払い、ボンダイジャンクションという町であらたにシェアメイトを募集し、同年代の韓国人男性2人と3人の共同生活をしていた。
3人ともよく食べる割りに、持ち合わせが少なかったので、バイト代が入ると米を10sくらい買って、おかずとしてはキムチを手作りし、ご飯とキムチばっかり食べていた辛い、そして楽しい記憶がある。



初志に還る

27/Feb/2014 01:16
この回想録は約18年前のこと。さすがに記憶があいまい。当時の手帳は何年か前に捨ててしまった。いや〜捨てなきゃよかった。

ボンダイ道場で3〜4ヶ月稽古した後、一身上の都合で一時帰国。いや実を言うと、遠距離恋愛中の彼女との間に暗雲が立ち込めたために、関係修復に一時帰国。
なんとも情けない理由で帰国したわけだが、努力空しくフラれた。しかし、おかげですべて吹っ切れ、再度渡豪。
ようやく初志を思い起こし、ボンダイ道場とはおさらばし、伊師先生のパラマタ道場での稽古に専念することとなった。フッてくれてありがとう!

パラマタ道場で稽古するようになって、確かすぐだったと思うが、シドニー近郊で伊師先生が企画した大きなキャンプ(合宿)が4月にあり、参加することとなった。
さすが先生の人徳というか、日本からのゲスト講師として、現・緑代表、奥村啓治師範、鈴木国博師範、川原奈穂樹師範、山本健策師範、そうそうたる顔ぶれだ。
講師は日本人だが、参加者はほぼみなオージー。こちらまだまだ彼らの会話のスピードにはついていく英語力がなかったが、一生懸命に気づかい、仲間の輪に入れてくれるオージーの優しさはうれしかった。
そんな中で特に、チャーリーとポールという2人となぜか意気投合。この後のオーストラリア生活でも実に世話になり、26年たった今でも身内同様の付き合いをしている。

写真はキャンプ中に撮らせていただいた、緑代表との2ショット!



ボンダイジャンクション道場での日々

25/Feb/2014 01:07
今考えても当時の胸中は測りかねるが、あっさりとジョンテイラー支部長のボンダイジャンクション道場に入門。

伊師先生も1987年の来豪以来(当時25歳)、当初はジョンテイラー支部長の道場で指導員をしていたようだ。
1990年代から10年位、常にオーストラリア極真でトップの選手であったフランクやダニエル、女子選手のヴァネッサやジャネット、みんなボンダイ道場での伊師先生の愛弟子。
私がシドニーに行った時は伊師先生はどうやら、ジョンテイラー支部長と袂を分かった後。先生がボンダイを去る際、前述の4人もついていったと察する。

ま、そんな事情はまったく知らない私は、伊師先生にまんまと敵国に派遣されたかのよう。
しかし、ボンダイ道場では親身な先輩たちに支えられ、シドニーに来て間もないこともあり、毎日なんとも浮き立つ感じで楽しかった。
生徒がすべてオージー(オーストラリア人)の中、心強かったのは、伊師先生の教え子でもある吉田謙一初段の存在。彼は現在3段になり、今もボンダイ道場で指導しているという。お世話になりました!

ちなみにいつまでも宿(ドミトリー)暮らしというわけにもいかない。吉田先輩の勧めで道場内にシェアメイト募集の張り紙をしたところ、ピーターという同じ年齢くらいの青年が手を挙げてくれ、彼の小さなアパートで共同生活を始めることとなった。
今でこそ日本でもシェアルームが流行っているが、当時シドニーではそれは当たり前。楽しいことも、またいさかいもあるが、いい経験だ。まれにピーターが彼女を連れ込んでいる現場に、出くわすことなんかも。

このボンダイ道場での稽古を中心とした生活は、確か3〜4ヶ月続いた。
さっき、久しぶりにこのボンダイ道場のホームページを見てみたところ、吉田先輩の雄姿も見られた。しかし驚いたのはジョンテイラー支部長の肩書きを見たところ、1999年の段階で9th dan なんと9段になっているではないか!
※参考HP→http://www.easternsuburbskarate.com.au/dojo.html



伊師先生宅訪問

20/Jan/2014 20:39
1か月以上も間を開けてしまいました。誠に申し訳ございません!
なるべく飛ばしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

初冬の日本から夏のシドニーへ、とにもかくにもやってきた。
空港からシドニーの中心部に行き、そこから電車で15分くらい。ボンダイジャンクションという海がすぐ近くの町へ行き、荷物を置いた。
宿はいわゆるドミトリーっていうんでしょうか。知らぬ者同士の4人くらいの相部屋の安宿。
置くもの置いて、本部でいただいた紙片を手に、「TOKUJYUN ISHI」の住所を目指す。

最寄駅はパラマタというところ。市中心から電車で30分くらいの郊外。
無論、土地勘がないので結構迷ったが、駅から確か15分以上は歩き、辿り着いた。
おそらくさすがに伺う前に電話はしたと思う。
ドアを叩き、対面した。先生にしてみれば、「どこの馬の骨か」という感じだろう。困ったようなへの字眉が目に浮かぶ。

青帯の初心者だが、とにかく1年間、先生の元で空手の稽古がしたい旨を伝えた。先生の道場もパラマタにある。
「ボンダイジャンクションにもジョンテイラーという先生の道場があるから、宿も近いし、まずそこに行ってみなよ」と言われ、「押忍!」、あっさりと言ってしまった。
伊師先生の元で稽古するはずが、別の道場に入門することになってしまった。今思うと、なんだろう?本気度を試されたのかもしれない。



オーストラリアへの手がかり

06/Dec/2013 09:29
「オーストラリアの大地に男の夢をかける 伊師徳淳二段」
何年何月の記事かは忘れたが、この記事に目が留まり「オーストラリアに行こう」、そう思った。
縁がほぼ何もない、他国に行って、空手やって、自分を1年間鍛えよう、と。

伊師徳淳二段はオーストラリアに居れども、どこにいるか分からない。
そこで、おそるおそる総本部へ行き、受付近くに門番のようにいる内弟子の方へ事情を説明。
なお、すでにこの年には総裁はこの世におられない。

「オーストラリアの伊師徳淳二段を訪ねたいので、住所を教えてもらえませんか?」
困惑する内弟子。彼は待っていて下さいと言い置き、上階に上がっていった。
何分待ったかな?15分くらい待ったかもしれない。
降りてきた彼は、タイプライターで打刻した10cm×5cmくらいの一片の紙片を手渡してくれた。
それにはローマ字で「TOKUJYUN ISHI」そして住所が打たれていた。

よし、これでオーストラリアへの手がかりを得た!
大使館へビザの申請を行い、会社にも退社時期を伝えた。
ボーナスの出る12月まで待ちゃいいのに、一刻も早くという思いから、10月退社。

11月3〜5日に開催された、「第6回 全世界空手道選手権大会」はしっかり観戦。
準決勝の数見肇vsフランシスコ・フィリォの試合での、数見肇は凄かった。
その感動を胸に、意気揚々と、、、いやかなり未知への怖さもあったな。
ともかく11月半ばに日本を発った。
そのことを、伊師先生は知る由もない。



違和感

28/Nov/2013 00:42
そう、いい会社だった。
しかしどうにもこうにも、漠とした違和感が出てきた。

組織で働くということ。
ちょうどコンピューターが導入され、業務がシステム化していき、今まで手書きでアナログでやってきたことがデジタル化され、なんか手応え自体に空虚さを感じてしまった。
24歳の私は、そんな中悶々と、もっと生身でぶつかっていけるような、やったことの責任がもっと自分にダイレクトにはね返ってくるような手応えを求めていた。

そして思った。とりあえず会社辞めちまおう。周囲が逃げるというなら、「はい、逃げるのです」と開き直り。

さて、どうすっかと思った時、まず海外に行こうと即決。
ワーキングホリデーという海外現地で働きながら、暮らしてよいというビザがある。基本的に期間は1年。
確か当時はいまほど行ける国(日本と間にワーキングホリデーの協定がある国)の選択肢がなくて、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの3か国だけだったと思う。

「地球の歩き方」というガイドブックのワーキングホリデーの情報を読み込む日々。
まだネットでいろいろ調べちゃうという時代でないので、ガイドブックが唯一の情報源。

どの国にしよう?

悶々とする。

そんな時、当時の愛読紙「パワー空手」のある記事に目が留まった。



城南支部

22/Nov/2013 00:14
総本部には結局2年弱在籍したが、稽古は確か週1回くらい行く程度だったかな。
白帯の指導は総本部の内弟子の先輩が受け持っていたが、少々退屈!と当時の私、エラソーに思っていた節がある。

その後バイト先の先輩が通っていた東京城南支部の恵比寿道場へ移籍。
当時城南支部といえば、今の新極真の緑代表を始め、八巻建弐、数見肇などなど、とてつもないオーラを放っていたものだ。
恵比寿道場は城南の若手ホープ高久昌義先輩の指導の下、とても活気があった。

大学を卒業し、就職。勤務先は埼玉。野菜を扱う仕事で、夕方から夜にかけて入荷してくる野菜の仕分け作業は深夜に及ぶ。
恵比寿に在籍すれども、なかなか道場には行けない日々。

でもなんか体力あり余っていたんだろうな。でかいサンドバックを購入。
深夜、会社の野菜の倉庫の片隅。
仕分け用のフォークリフトの爪にサンドバックを引っかけ、ウィーンと吊り上げる。

突く!蹴る!!

いや〜、いい会社だった。こんなことさせてもらって。



ファーストコンタクト

18/Nov/2013 19:16
確か土曜日だったような気がする。
総本部2階での一般部稽古。
その日の指導員は初めて見る人だ。そして、どうやら足を怪我している。

その人こそ、伊師先生であった。
当時おそらく30歳前後。来豪して4〜5年目。オーストラリアで行われた大会の演武(確か氷柱割り)で骨折し、治療のためか一時帰国とのこと。
そこで、総裁の命令なのか、総本部道場で指導をされていたようだ。

いつもの総本部の指導員に比べて、テンポよく歯切れよく、稽古全体に勢いを感じ、新鮮な気持ちになった記憶がある。
結局、総本部で伊師先生の指導を受けることができたのは、その1回のみ。
白帯の私は特に声をかけてもらったわけでもないが、なんとも言えないインパクトが心に残った。

でもまさか、この1回きりの印象が元となって、数年後に自分がオーストラリアに行こうとは到底知る由もなかった。



極真会館入門

14/Nov/2013 23:40
実をいうと極真会館への入門は結構古い。

おそらく1991年、21歳の頃。

うわっ、23年も前か! 

全然稽古していないのがバレてしまった。

池袋の自宅から総本部まで自転車で5分とかからない。必然的に総本部へ入門。

大山総裁もまだ健在。

確か稽古が終わる頃、最後の締めに最上階の総裁室から大山総裁が降りてこられる。

一度だけ直々に檄を飛ばしていただいたことがあり、非常に強く印象に残っている。

「キミは学生かね!」
「押忍!専修大学に通っています」
「そうか。専修大学には極真の愛好会がある。彼らに負けないように稽古しなくちゃだめだよ!」
「押忍!」

時間にすれば数秒間だが、今でも宝物のように感じている。



日記志願

12/Nov/2013 01:25
今から約18年前、オーストラリアの伊師道場で1年間稽古に励んだ。

私は25歳。伊師先生は33歳の時。

「師」と呼べる存在。
その私にとっての初めての人が伊師先生だ。

このオーストラリアで先生に師事をさせていただいたことで、それはそれは言葉には言い尽くせないほどの「生きる力」「人生の指針」を得た。

2013年11月12日。
伊師先生がこの世から去って、6年が経った。

私の手元に1冊のノートがある。
それは25歳の真面目な私が、当時先生から教わったことなどを書き連ねたもの。
久々に読んでみると、先生の声が蘇ってくるようでなかなか興味深い。

これをこのまま死蔵させておくのももったいないというか、伊師先生に縁のある人とシェアした方が「活きる」かもしれない。

7回忌という節目がそうさせたのか、御茶ノ水道場の末席に名を連ねながらも(休会中)、何の奉仕もしていない心苦しさがそうさせたのか。

気が付くと、「セイヤッ」とばかり、砂川さんにこのたびの稽古日記を志願してしまった次第。

読んでいただく皆さんの興味を引くかどうか分からないけれど、オーストラリア修行での思い出、ノートの内容など織り交ぜつつ、稽古日記というよりむしろ回想録をしばらく書かせていただこうと思います。

どうぞお付き合いのほどよろしくお願いします。

深野弘之